油絵のアニメーション!手間と時間のかかった映画
ゴッホ最後の手紙(2017年公開)は、なんと62,450枚の油画で制作されたアニメーション映画。制作の手順は、最初に俳優が演技をし、それを油絵で描きアニメーションにした物凄く手間と時間のかかっている映画。
油絵を描くために百人規模のアーティストが集められ制作されたというクリエーター魂炸裂一本です。おすすめします。見てください。
軽く内容を説明しておきます。ゴッホ は生前、各地を転々としておりフランス南部のアルル という小さな町にも短期間滞在していました。(有名な耳切り事件の場所です。)そのアルルで唯一郵便局員のジョセフ・ルーランがゴッホの友人でした。
その郵便局員ジョセフは、ゴッホの死後見つかった手紙を息子のアルマンに届けるよう頼みます。宛先はゴッホの弟テオ。しかし、テオもすでこの世を去っており、ゴッホの足跡を辿りながら、手紙を渡すのに最もふさわしい人を探す旅出ます。
その過程である事に気が付きます。それはゴッホの死の真相。果たしてゴッホは自分で自分で自分を撃ったのか、それとも別の人物によって・・・
アルルに戻った主人公アルマンは、父親とともにローヌ川と思われる?川のほとりで美しい星空を見ながら語り合い映画はラストへと流れていきます。
《ローヌ川の星月夜》(画像1)
《星月夜》(画像2)
星月夜というタイトルの付いた作品は、アルル滞在時に描いたこの《ローヌ川の星月夜(1,888年)》(画像1)とサン・レミの病室で制作された《星月夜(キャンバスの左に大きな糸杉が描かれている絵で、見たことのある人は多いと思います。1,889年)》(画像2)の2枚があります。
《ローヌ川の星月夜》(画像1)は、ゴッホのアルル時代の心が落ち着いていた頃に描かれたもので、実際の景色を見てガス灯の明かりの下(よく帽子にローソクをくっつけて明かりにしたという記述もありますがあれは違うそうです)制作したものとされる一方、みなさんもよく知っている《星月夜》(画像2)は、いくつかの風景を組み合わせて描いた物とされています。
ゴッホの死の真相?
実際、現在でもゴッホの死については論争があり、一応はゴッホ自身の証言から自分で撃ったとされていますが、銃も、絵の道具類やキャンバスも見つかっていません・・・書籍「ファン・ゴッホの生涯」(上下巻)では、ゴッホに意地悪をしていたカーボーイの格好をしていた10代の男子が・・・という説が記されていますし、アルルの黄色い家でゴッホと共同生活していたゴーギャンが・・・という説もあります。真相は闇の中。
ズバリ見所は?
「ゴッホ最期の手紙」この映画の見所と言えば、まずはビジュアル面。油絵でのアニメーションに目を奪われます。カラフルなシーン、モノクロの回想シーン、ややぎこちなく動く人物や背景。人なのか?絵なのか?なんとも不思議な体験です。そして何より映像に暖かみを感じます。
もう一つの見所としては、ゴッホの描いた人物画が動き回り、場所、風景の作品が人びとの生活の場として登場しているところでしょう。きっと、ゴッホが好きな人なら、あ、この場面はあの作品だ!と気づいたり、それらの作品を探すのも面白いと思います。
誰がゴッホを撃ったのかという謎への挑戦。 何度も楽しめる映画です。
かさたびには、ここで紹介したゴッホの《ローヌ川の星月夜》《星月夜》がモチーフになったアート傘ももちろんあります。他にもモネやミュシャなどのアーティストの作品がアート傘になっているので、ぜひ一度覗いて見てください。
Amazon primeでは今は公開していませんのでDVDをチェックしてください。
(美術検定1級アートナビゲーター持ってるスタッフより)