ティム・ロス主演のアートシネマ。ゴッホ兄弟の心の繋がりを描いた映画「ゴッホ 〜VINCENT&THEO」をレビュー。

ティム・ロス主演のアートシネマ。ゴッホ兄弟の心の繋がりを描いた映画「ゴッホ 〜VINCENT&THEO」をレビュー。

映画「ゴッホ 〜VINCENT&THEO」レビュー編

 1990年に公開された映画「ゴッホ〜VINCENT&THEO」を紹介します。

主演は、ティム・ロス。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが、絵を本格的に描き始める頃から亡くなるまでの話で、ヴィンセントと弟のテオとの関係性に焦点を当てた内容となっています。

面白いところは、画家ヴィンセントとテオの生涯を描きながらも、実験的なシーンを取り入れている前衛的な映画という側面も持ち合わせている点です。

例えば、冒頭、現代のオークションのテレビ中継でゴッホの《ひまわり》が、出品され1500万ポンドを超える高値がついているのを、まるでゴッホがベッドに横たわって見ているような演出(本当は弟と話している)があったりします。

 

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは手紙魔だったので、彼の行動はかなり詳細に残ってい流ので、史実とは違いもあるようです。しかしながら、主演のティム・ロスの怪演が、ゴッホの精神面の苦しさを激しく表現しているのが目を惹きます。 特に印象的だったのは「ひまわり畑」。たくさんのひまわりが咲く誇る場所でヴィンセントが描き、そして壊れていく。ひまわりの明るさ、元気さ、華やかさとヴィンセントの皆に分かってもらえない辛さが比較されているのではと感じました。

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ヴィンセント役のティム・ロス 

 この映画を観ているとヴィンセント役にはティム・ロスでぴったりだなと思いました。ティム・ロスは、ちょっと変わった役の多い俳優です。この映画は、ゴッホ兄弟の精神的につながりと危うさにスポットを当てているので、ヴィンセントの心が病んだ姿は、ティム・ロスのやや不気味な演技がハマっています。ちょっと激し過ぎやしないか?と思うほどの演技です。

フランス南部のアルルへ移り住み作家仲間のゴーギャン と共同生活するも、すぐに仲が悪くなってから、目つき、表情が一変するさまは観ていて何とも言えない哀しさと恐さを感じます。映画「パルプ・フィクション」、「海の上のピアニスト」ドラマ「lie to me」などで、個性的な役柄を演じてきたティム・ロスならではの豹変ぶりです。

また、他のゴッホ映画と違うのは、弟テオの変化が色濃く描かれているところです。もちろん映画ですので、脚色は当然あるのでしょうけれど、よくある兄の生活面、制作面を金銭的に支えて、気苦労の多かった弟という面だけではなく、ゴッホ兄弟は精神的な支え合いをしていたのだなと素直に感じさせてくれます。兄は弟を想いながらも生活を依存し、弟も兄の成功を願い、兄が居なくなってからも、兄に心を依存していたという関係を描くことに注力されている映画です。

 残念ながら、この「ゴッホ〜VINCENT&THEO」のDVDは今は手に入らない状態です。サブスクリプションもなさそうなのでラインナップされる事を待ちましょうね。

美術検定一級アートナビゲーター持ってるスタッフより 

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