「モネー連作の情景」展で心打たれました。オススメグッズも紹介します。閉幕。合計入場者数は?
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モネ100%の展覧会レビュー
上野の森美術館で開催中の「モネー連作の情景」展に行ってきました。100%モネ作品ということで、どのような作品と出会えるのだろうとワクワクしながら朝イチから並びました。
クロード・モネは、1840年にパリ9区に生まれ、1926年86歳で亡くなった印象派の巨匠。43歳からの人生をフランス北西部ノルマンディ地方にある村ジヴェルニーで過ごし、庭づくりにも精を出しました。この庭で、《睡蓮》のシリーズが制作されたのはご存知の方も多いはず。
展覧会では、その作品制作を追っていく内容で、《睡蓮》などに見られる「連作」というモネの特徴にスポットを当てる構成となっていました。
《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》(1,900年)
モネって凄い作家なんだなぁと改めて感じ、あまりに素晴らしすぎてじゃっかん泣いた。
これ、本当に途中で胸がいっぱいになりまして涙ぐんでしまいました。連作を見ているとモネの粘り強さ、制作へのこだわりをとても感じました。
会場には、美しい作品がたくさん並んでいて、それは美しいだけではなくて、その絵から放たれているモネの画家としてのこだわり、作品制作への熱量というものが残留していて、展示室に入るとそれに包まれている感覚になりました。それは思わず「うわ〜すごい」と声を出してしまうほどでした。
よく日本だけでなく世界のアートファンは、印象派の作品を好きな人がとても多いと言われます。確かに、歴史画や宗教画と違って、とっつきやすさ、見やすさ、あとかわいい感じがするという感想も聞いたことがあります。
また、最近では、モネの新たに発見された幅2メートルの大作《睡蓮の池》が、ニューヨークのオークションで6,500万ドル、およそ97億円以上で落札予想などと、今だにコレクターからの注目も集めています。それが良いのか悪いのかは分かりませんが、落札したものを見たいなあという気持ちが正直なところです。
話が少しそれました。
確かにモネをはじめとする印象派の美術展は、心地いい作品も多いので、アートへ観賞への入り口としてもピッタリだと思います。和みますしね。
しかし、それだけではなく世紀をまたいでも人気のある画家の作品というものは、やはり、「絵」そのものの力が、格別強いものなんだなと確信を持ちました。私が、感じた今回の「モネー連作の情景」展での心打たれたのはこのことです。「絵の力」。
みなさんも上野の森美術館へ行ってモネの展覧会をご覧になるなら、じっくりと鑑賞して絵の力を感じてください。
《睡蓮の池の片隅》(1,918年)
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モネの連作ってそもそもどんな作品?
まず、改めて印象派とはどんな絵?と思われる方もおられるでしょうから、簡単に触れておきます。
西洋絵画は、もともと歴史画や神話、宗教画を描くことが大切だとされていてフランス革命くらいまでは、絵画のヒエラルキー(順位)が明確に示されていました。
1位、歴史画、神話、宗教画
2位、肖像画(王様など)
3位、風俗画(一般市民)
4位、風景画
5位、静物画
もちろん描く料金も、上に行けば行くほど高いのです。
時代が進むにつれ、それまでは王様や教皇が画家のスポンサーでしたが、どんどん市民のスポンサー、支援者が増えていったことや文化に理解のある権力者などの影響で風俗画や風景画、静物画を人気が高まっていきます。
そこで、物語ではなく、目で見たそのままの景色を描こうと取り組んでいったのがモネたち印象派の人々です。しかし、フランスでは人気を得るどころか、なかなか理解されませんでした。
やはり、モネたちの印象派の作品は、伝統的な絵画と違って、当時としては先進的すぎたのです。「これは制作途中?」いや「腐った皮膚の色?」などと批判を浴びていました。
そんな印象派の人気に火をつけたのは、フランスではなくアメリカの美術愛好家の人々だったのです。
モネの作品は特にアメリカで受け入れられ、どんどん作品を制作していきます。そしてモネは40代後半にやっと世間に認められ、収入も安定し出したと言います。
連作は、その過程で生まれたもので、よく言われるのは、いわゆるシリーズもののことです。(このあたりは、専門家によってもっと広い意味にとらえる場合もあります)同じ場所や同じ題材(テーマ)を季節ごとに描いたり、晴れや雨の日、朝や夕などの変化を描き止めていきます。モネの作品では《睡蓮》《積みわら》《チャリングクロス橋》などたくさんの連作があります。
モネが美術界に起こした革命的な手法ともいう学者さんもいるほどで、この連作の考え方は、現代アートにも受け継がれています。
《睡蓮》(1,897~1,898年ころ)
モネの特徴のひとつに「黒」を使わないということが挙げられます。厳密には、初期の頃は、使っていたのですが自然界には、黒なんて色は存在しないと気づいてからは使わなくなりました。例えば、影の色などは、紫や青で表現していきます。
また、絵具を混ぜるとどんどん暗くなっていくので、絵の具そのままの色を少しずつ乗せていき、視覚の効果によって色彩を見せる”筆触分割(ひっしょくぶんかつ)”という方法で描いていることも大きな特長です。
こういうところに注目して作品を見て回ってくださいね。
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オススメグッズの紹介
作品《ラ・マンヌポルト》(1,883年) の手提げバッグです。サイズは縦39センチ横33センチで、白バージョンもありました。他にもバッグ類が充実していました。この作品も連作です。
《ウォータールー橋、ロンドン、日没》の一部がワンポイントのアクセントデザインとなています。
こちらは《ウォータールー橋、ロンドン、日没》と《ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ》を使ったクリアファイルです。紙を挟むを色味が変わるのがポイントです。
他にもサコッシュやこれからの季節に役立ちそうなポチ袋など、たくさんの種類があって、きっとみなさんも私のようにアレにしようか?コレもいいなと迷うことでしょう。
ここまで上野の森美術館で2024年1月28日まで開催している「モネー連作の情景」展のレビューお届けしてきました。モネの素晴らしさが少しでも伝われば幸いです。
モネに興味を持っていただいたらアート傘を持って美術館へ行ったり、お出かけなんていかがでしょうか。アート傘には、いろんな種類がありますので、ぜひご覧になってください。
「追記1」1月28日をもって上野の森美術館での展示は終了しました。会期99日間で46万4129人の入場者を数えたとのことです。ものすごい数の人が訪れましたね。
また、大阪への巡回は2024年2月10日から5月6日まで、会場は中之島美術館です。東京とは若干展示作品が異なるようですよ〜。
「追記2」2024年は印象派が生まれて150周年。それを記念して「モネからアメリカへ ウスター美術館」展が開催されます。会場は、東京都美術館。会期は、2024年1月27日から4月7日までです。
美術検定1級アートナビゲーター持ってるスタッフより