「睡蓮」がいっぱい!国立西洋美術館へ行ってきました。

「睡蓮」がいっぱい!国立西洋美術館へ行ってきました。

「睡蓮」と言えばモネ。モネと言えば「睡蓮」

 東京は上野公園にある国立西洋美術館で開催中の「モネ 睡蓮のとき」展へ行ってきました!私が鑑賞したのは10月5日の開幕から少し経った頃。

モネの展覧会といえば、昨年同じ公園内にある上野の森美術館で、大規模な回顧展が開催され、数十万の人が来場し大盛況に終わったことが記憶にあります。

今回は、その翌年とあって人出はどうなんだろうな?といささか気にかけながらの訪問となりました。

もちろん空いてた方が見やすいですけれど、美術館としては多くの人に来てもらいたいだろうし、アートファンとしても賑わいはあった方がいいかなどと考えていましたが、実際に会場へ行くと開門前から行列ができ最後尾は遥か彼方という状況でした。

これほどモネ好きな人多いんだなぁって、ちょっと驚きました。ビッグネームなので一応見ておくか、というのもあるでしょう。

今回のリポートも展覧会の見どころ(ざっくりと)、購入したグッズの紹介というながれです。

 

いきなり横道にそれますけど睡蓮と蓮の違いって?

睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)って同じ?それとも違う?

もちろん別の植物です。全く同じと思っていたあなたハズレです。

睡蓮の英語名は「water lily」、蓮の英語名は「lotus」。

どちらも池などにみられる植物ですけれど、よく見るとおおきな違いがあるんです。

睡蓮(water lily)の葉は水面に浮き、その形は特徴的な切れ込みがあります。花は、午前中に咲き、お昼を過ぎると閉じてしまいます。

そういう開花の特徴は、同じモチーフを異なる時間帯に描く連作のスタイルにあっているように思えますね。

対して蓮(lotus)は、水面に浮く葉と水面から上に茎が伸びて広がる葉を持ち、花も水面より上に伸びて咲きます。蓮の地下茎がレンコン。そうでした私、すっかりレンコンのこと忘れてました。蓮=レンコン。

では、ここらで本題に戻りましょう。

「モネ 睡蓮のとき」見どころ、撮影スポット

国立西洋美術館の「モネ 睡蓮のとき」展示室前には、このようなシンプルで美しい装飾が施されていました。

床に映り込んだ睡蓮の絵は、モネの池のほとりに立っている気分にさせてくれ、ますます展示への期待を高める仕掛けとなっています。

 今回の展覧会は、モネの画業を順に追っていくものではなく、「睡蓮」の連作にスポットを当て、モネの後半生の生きざまを感じられる内容となっていて、作品展示の構成は、大きく4つ+最後にエピローグとなっていました。

構成のタイトルは、、、

・セーヌ河から睡蓮の池へ

・水と花々の装飾

・大装飾画への道

・交響する色彩

・エピローグ(作品少しだけです。展示の締めという感じ)

撮影ができたのは「大装飾画への道」のパートだけだったと記憶しています。

ここではその時の撮影画像を紹介しつつ書き進めます。

<睡蓮>(1914-1917頃)水面に映り込む雲。上下さかさまのように見えます。実体と水鏡の世界が広がっています。

 

<睡蓮>(1914-1917頃)少し暗めの画面。睡蓮と水中の草でしょうか。

 

<睡蓮>(1916年)赤や黄色の花が目を引きます。左上から右下への対角線構図となっています。水中も緑の多いところ青の多いところと縦の線で塗り分けられています。

 

<睡蓮、柳の反映>(1916年?)縦199,3センチ、横424.4センチの巨大な作品。日本人の実業家松方幸次郎が1921年にモネから直接譲り受けた作品。第二次世界大戦でフランスに接収されて行方が分からなくなっていました。2016年ルーブル美術館の倉庫で発見され返還されました。上半分は欠損状態です。

 

 この展示室は楕円形の空間で、「睡蓮」がズラーっと並んでいました。ここが今回の展覧会の見どころのひとつであり、唯一の撮影ポイントです。

楕円形の展示室というのは、パリのオランジュリー美術館をイメージした空間となっています。足を踏み入れると「睡蓮」に囲まれるわけです。

(ああ、そういえば国立西洋美術館の開門前に並んでいたとき、後ろのマダムたちが、「オランジュリー美術館は行ったことがあるの」などと話していて、うむむ・・・いつかは俺もと思ったことを思い出しました。)

これほど間近でたくさんの睡蓮を観る機会もないでしょう。

連作というのは、前述しましたが、同じ主題を異なる時間帯で描いていく手法。ひとつの作品に、モネが見た瞬間の景色、つまり時間、光、色彩が描きこまれているわけです。

この部屋に展示してある「睡蓮」は、キャンバスいっぱいにひろがる水面、睡蓮の花、みなもに映り込む空や柳などが描かれているので、じっくりと鑑賞していると実際にジヴェルニーの池のほとりに立っているような、しかも景色がどんどん移り変わっていく少し不思議な感覚がしました。

なんというかタイムリープでもしているような感じです。

目の前でモネが描いている。そんなイメージも湧いてきました。

 

来てよかったと強く思ったパート

楕円形空間での「睡蓮」もよかったのですが、私が個人的に「ああ、来てよかった~」と感じた展示は「交響する色彩」というパート。

写真が撮れなかったのが残念。

なにが良かったかというと、ほとばしるエネルギーのような色の組み合わせ。

モネというと優しい色の作品とイメージされることも多いと思います。しかし、晩年の作品では、激しい(敢えてそういいますが)色使いで、対象の形がはっきりとしない作品が増えていきます。

そのような作品を集めたのが「交響する色彩」というパート。

白内障に悩まされながらも描き続けた画家の強い気持ちを感じずにはいられませんでした。

また、少し専門的なことですが、モネは亡くなってから評価があまりされてなかった時期があるんですが、1950年代に入ってアメリカでジャクソン・ポロックなどの抽象画が脚光を浴びてきたころ、モネ晩年の作品群が、抽象画家たちに間接的に影響を与えたとした再評価されるきっかけとなったのです。

このパートを鑑賞していると、そのことを思い出しまして「これは抽象画だな」と思わず独り言を言ってしまうほど納得。

画家として人生をささげた一人の男の生きざまもここで感じました。

 

  それでは購入したグッズの紹介 

 

 グッズ売り場、なんかもうすごいことになってました。闘いでした。ほぼ負けました。週末などに行かれる方は覚悟してグッズ購入に挑んでください。

 まずは展覧会カタログ(図録)。3200円。モネの人物相関図や年表なども載っているので読み応えあります。

 

 サブレです。ケースがとてもかわいい。2300円。

 

 

 小さな額に入った複製画。ポストカードくらいの大きさのものです。絵は数種類ありました。争奪戦でもう全く確認できませんでした。。。こちらは2420円。もっと大きなサイズもありました。

 

 ボールペンのSARASA。ピンク、ブルー、グリーンの3色。(インクは黒です。)それぞれのグリップ部分に睡蓮の柄が施されています。セットで1100円。

 

 2種類ありました。長財布より大きいサイズ。カードポケットが多くて使い勝手がよさそう。3080円。

 

展覧会ではおなじみのグッズ。マグネットこちらは660円。

 

 ラストにグッズではないのですが紙袋を購入。しっかりしています。記念にどうぞ。300円。

 

最後に開催期間などを記しておきます。

「モネ 睡蓮のとき」

・国立西洋美術館の開催日程は、2025年2月11日(祝)まで。

その後巡回します。

京都市京セラ美術館 2025年3月7日(金)~6月8日(日)まで。

・豊田市美術館 2025年6月21日(土)~9月15日(月・祝)までです。

作品の展示に情報を見ると国立西洋美術館で展示されても京都、豊田では展示されないものもあるようです。

 「睡蓮」という作品は、池の水面に咲く花や葉は現実、みなもに映る空や柳は、現実とは異なる世界のようで虚構。そんな見方もできるのではと感じました。

また、第一次世界大戦後、制作の半数以上を「睡蓮」が占めているとの記録もあるので鎮魂の意味合いもあるのかなと個人的には考えています。

(12/17追記)

この展覧会のインスタグラムによると、2024年11月24日の時点で、入場者数30万人を突破したようです!先日、ハローキティ展を見に行った時、モネの会場である国立西洋美術館の前を通りましたが、平日にも関わらず大勢の人が訪れ、勢いはまだまだ続きそうだなと感じました。

やっぱり印象派って好きな方が多いのですかね。

参考資料

・「モネ 睡蓮のとき」展覧会カタログ、責任編集 山枡あおい、日本テレビ放送網、国立西洋美術館、2024年

・もっと知りたいモネ改訂版、 著者 安井裕雄 株式会社東京美術、2022年

 

執筆者

 

青木 雅司

美術検定1級アートナビゲーター

画像の左上が私です。こういう画像をたまに制作しています。

アクリル絵の具を使ったマーブリングを撮影して、自分で撮った画像と組み合わせています。

昔、大阪と名古屋でラジオ局のディレクター長いことやってました。

あいちトリエンナーレ2013メンバーでした

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