ポスターアートで大成功!ミュシャはラッキー?いえいえ実力があったからこそです。

ポスターアートで大成功!ミュシャはラッキー?いえいえ実力があったからこそです。

ミュシャってどんな人?

ミュシャ、一度でもその名前を聞いたことのある人ってかなり多いと思います(ゴッホやモネよりは少ないかも知れないけれど)。特にポスター作家時代の作品は、日本人好みだなぁと感じることも多いでしょう。

ミュシャのこと、なんとなく女性アーティストと思ってた方もいらっしゃるのではないでしょうか?そういう私も昔はそう思っていましたが。。。

ミュシャについての基本情報をお伝えしておきます。

アルフォンス・ミュシャ、1860年(1939年没)。パリで大活躍したことから、パリ生まれの人?と思われる方も多いでしょうがチェコ共和国生まれ。

絵の上手な青年であったミュシャは、勉強の為にウィーン、そしてミュンヘンへと移り仕事をしながら絵画で生計をたてるようになっていきました。(なんとバイオリンも上手かったそうです)そしてパリへ移ったのが20代後半。パリでは、はじめ挿絵画家として活動していました。その頃の絵は、本の挿絵ということもあって古典的な絵が特徴で、後に大ブレイクするポスターとはまったく異なるものでした。しかも、パリは大都市です。これまでとは比べものにならないくらい大勢のライバルがしのぎを削っていました。

パリの駆け出し挿絵作家時代のミュシャは、描く事だけではなく、出版のため印刷用の版(インクを乗せていくもの。今みたいにデジタルで入校して印刷なんて無いので手で彫る)も自分で彫るという仕事もしていました。(普通は、描く人と版を掘る人は別)。

しかし、苦労の甲斐あって、挿絵業界ではよく声の掛かる存在となりの、その業界ではそこそこの成功を納めていたようです。そんなミュシャに一大転機が訪れます。

偶然だけど実力があったから! 

1894年のクリスマス、所属していた印刷所に当時の大女優サラ・ベルナールから舞台の広告用ポスターの注文が入ります。が、クリスマスと言えばみんなお休み。デザイナーが全く捕まりません。注文を受けた印刷所としては、やばい・・・やばい・・・と冷や汗モノだったことでしょう。そのとき連絡のついたデザイナーがミュシャだけだったのです。この時ミュシャ35歳。ここからポスター作家として大躍進が始まるのでした。

こちらが、その時の作品《ジスモンダ》。なんという偶然でしょう、きっとライバルたちは「チクショーと悔しがったことでしょう」・・・なにせその時の舞台のポスターをえらく気に入ったサラ・ベルナールは、ミュシャと6年の契約を結んだのです。この期間がポスター作家として最も活躍した時期で、花や葉などのモチーフをふんだんに使い、曲線の美しさを前面に押し出した華やかなイメージで大成功をおさめました。

さらに、サラ・ベルナールだけでなくタバコの会社、シャンパンのメーカーなど沢山の広告ポスターを手がけています。また、ミュシャといえばアールヌーボー。この言葉を聞いたことのある方多いでしょう。

アールヌーボーとは「新しい芸術」と言う意味です。植物の花や葉、昆虫などをデザインに取り入れた装飾、曲線美を追及した作風が特徴のアートの流れで、ミュシャはこの流れの牽引役でもありました。

 ミュシャはお金に無頓着?

1つ人柄がわかるエピソードを紹介しておきますと、ミュシャは特にお金に無頓着だったと言われています。

彼のアトリエ?部屋?にはお金の入った籠が吊るしてあったそうで、ゴーギャンなどお金に苦労していた作家仲間が勝手に籠からお金を持ち出しても、全く怒ることも無かったそうです。ミュシャはとっても良い人なんでしょうけれど、ゴーギャンたち・・・何をしているんだ。。。

 

こちらは、ミュシャのアトリエでピアノを弾くゴーギャン の画像

 日本人のミュシャ好き:ミュシャも日本好きだった!

ミュシャのポスター作家時代の作品といえば花や草木といった植物柄の装飾。曲線。華やかであってダイナミックな構図のデザインです。

それは、日本美術の特徴である平面的、直線よりも曲線、花鳥風月、大胆な構図の切り取りとほぼ同じといえます。

彼が大活躍しはじめた19世紀後半のパリは空前の日本ブーム。(パリ万博が開催され)浮世絵が飛ぶように売れ、ミュシャを始め多くの作家たち(例えば、モネやゴッホ)が買い集め日本美術から影響を受けていました。

もちろんその反対に日本では明治の頃からミュシャも雑誌で取り上げられたりと注目を集めていたようです。人気が急拡大したのは1980年代からで、ミュシャのコレクターの第一人者であった土井君雄さん(カメラのドイ創立者)によってに展覧会が開かれ、どんどんと魅力が広まり現在でもミュシャ展が開かれると多くの人が訪れます。

日本の美術や工芸品が好きで集めていたミュシャ。おそらく浮世絵などからヒントなどかなり影響を受けていたのでしょう。だから、日本人にとっても受け入れやすさがあったのでしょう。

 日本美術にあこがれを持っていたミュシャの作品をモチーフに使ったアート傘。あなたもいかがですか?アート傘ってなんとなく女性向け?と思っていませんか?このブログを書いている私は男なんですけれど、実際にアート傘を差してみると、とてもいい感じです。

ぜひ、男女問わずみなさまチェックしてみて下さい。

美術検定1級アートナビゲーターもってるスタッフより

追記1

ミュシャの作品を投影する没入型展覧会「アール・ヌーヴォーの女神たち」が、グランフロント大阪で、2023年12月9日(土)から2024年1月28日(日)まで開催されます。そのあとは、全国を巡回予定です。まるでまるで作品の中へ入っていくかのような感覚になる展覧会。こちらもチェックしてみて下さい。

追記2

名古屋・栄にある松坂屋美術館で「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」が2023年12月9日(土)から2024年1月21日(日)まで開催されます。19世紀に活躍したミュシャのとくにデザイン業に注目した展示です。これわたしもいってみます。最近ミュシャ来てませんか。

 

 

 

 

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