絵具の細かい点を打つことで絵を描き、アートの歴史に残る名画を制作した作家:スーラ
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《グランドジャッド島の日曜日の午後》(1,884年〜1,886年)は名画なんです!
この絵は、点描という技法で描かれています。その点描ってご存知ですか?
普通、絵を描くときは筆を動かして人物なり風景なり描いていきますよね?それを「点」を打って描いていきます。
この作品は、縦225センチ横340センチという大きな絵なんですけれど、細かい点を打って、打って制作していく、途方もない労力というか忍耐力にまず脱帽です。この作者であり、点描という技法を考えだしたのがスーラというアーティストです。
作品の舞台となっているグランドジャッド島はセーヌ川にある中洲で、19世紀後半のころは、パリから離れたのどかな雰囲気の場所だったようです。(現在は、閑静な住宅が並ぶ)スーラは、制作当時1年間この場所に通いつめて、何度も、何種類も大作ための練習作品を描き続けました。そしてトータル2年という時間をかけて描き上げたのがこの名画となります。
スーラってどんな人?山あり谷あり人生だったのか?
ジョルジュ・ピエール・スーラ1859年パリで生まれ。とても内気な人だったと言われています。その人生もゴッホのような逸話もなく、また口数も少なかったのでエピソードというものは、ほぼないといっていいくらい。
自分のスタイルを確立しようと美術館だけでなく図書館で色彩の文献を読み漁り研究する学者さんのような人柄でした。
スーラの目標は、より明るい色彩、画面。
一般的に、絵の具は混ぜると、どんどん暗くなっていって最後は黒になります。これをどうにか出来ないかと研究を重ねた結果、絵の具を混ぜず、絵の具そのまま色を使い、細かく点を打つことで視覚的に明るい色彩を生みだすという方法にたどり着きました。
スーラはモネやルノワールといった印象派の作家よりも後の世代(ゴッホと一緒)ですが、印象派のメンバーとの交流もありました。しかし、点描という技法は印象派の古参メンバーには、あまり受け入れられず、特にルノワールから散々批判されていたそうです。
なぜなら印象派は、見たままの光を描くグループです。そこに現れたスーラの作品は、研究し得た理論に沿って点描で描いた絵。つまり、見たままの風景、光ではないのでルノワールなどは認めなかったのだろうといわれています。
でも、恐らくですが、それは自分たちよりも先進的なものをスーラの技法に感じて批判してしまったのではないのかなと思ってしまいます。なぜなら、ヴァン・ゴッホやアンリ・マティスなど多くの作家が点描を取り入れ作品を描いているからです。(点描を通ってないのは巨匠だとピカソくらいかと)。
ゴッホ 《種まく人》
余談ですが、ゴッホ の人生を描いた映画「炎の人ゴッホ」(1956年、主演カーク・ダグラス)でゴッホがスーラの《グランドジャッド島の日曜日の午後》を制作中のアトリエを訪れているシーンが出てきたりします。
すったもんだの後、スーラが参加した第8回印象派展は、ルノワールやモネが不参加となり、印象派展はその回をもって終りとなってしまいました。もともと内輪でよくもめていたこともありますが。
そのスーラは31歳という若さで亡くなってしまいますが、その影響力はとても幅広い作家に及んだとされています。
実物の《グランドジャッド島の日曜日の午後》は、なかなか観る機会はなさそうですが、アート傘を手にすればこの名画といつも一緒に出歩くことが出来ますよ。ぜひチェックしてみて下さい。
美術検定一級アートナビゲーター持ってるスタッフより
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